患者さんとの向き合い方

看護師として働くと必ず悩むことになるのが患者さんとの価値観の違いです。適切な看護を行うために日々勉強を行い、正しい治療法を身に付けるほどこの問題にぶつかることとなります。

例えば、よくある事例としてはお酒やタバコをやめてくれない患者さんです。病気の治療のためにはお酒やタバコはやめなければなりません。しかし患者さんとしては「やめるくらいならどうなってもいい」というほど強い意思を持っていることがあります。ここに看護師と患者さんの価値観のぶつかり合いがあります。

ここでまず理解しなければならないのは「正しい」と「事実」は違うということです。この場合の正しいとは、お酒やタバコをやめるということです。医学的根拠も十分であり、やめることは正しいことです。しかし実際にやめてしまうと、逆にそれがストレスとなり大きな問題へと発展する可能性もあります。これが事実です。

治療のためにはやめることが正しいのですが、正しいことをすると逆に悪化するという矛盾は人によって起こり得ます。つまり、正しいは矛盾を含まず、事実は矛盾を含みます。この正しいと本当を理解した上で患者さんと接することが重要です。もちろん患者さんにお酒やタバコを勧めていいというわけではありません。別の解決方法を練ることが必要です。ではどのような解決方法が考えられるでしょうか。これは非常に難しい問題なのですが、こういう時にこそ医療倫理が重要となります。今、患者さんのために何をすることが出来るのか、それを追求することが問題解決への近道だといえるでしょう。